*自分も誰かに聞いた話です。
*リアル感のためなるべき軍隊用語をそのまま使います。
*韓国の兵階級は二兵→一兵→上兵→兵長順。


時は1年前、俺の現役の時の話よ。
GOP(*前方警戒、韓国の北朝鮮の休戦線にある警戒ポスト)で
FEBA(*前方ではあるが、前方部隊の後方を警戒する地域)に移して
いろんな訓練と雑務で苦労してたその時、
上兵だった俺は後任(*軍の後輩)がばかすぎて通信兵をやってたんだ。

通信兵は技術兵だから楽じゃないの?と聞くやつはこの写真をみてほしいよ。
캡처

他の人と同じ軍装+こんな鉄の箱を持って訓練するからまじダルいんだ。
とにかくこの箱をもって作戦地域の山奥で訓練してたけど
さすがに休戦線近くで人の出入りがないから電波が届かない地域が結構あったよ。

電波が届かなかったら一人でSibal,Sibalといいつつアンテナを精一杯出して、
木が少ないとこを探し回らないと行けなくなるんだ。
通信兵として最もイライラする場合。

その時もそんなクソみたいな状況になってしまい、小隊員と離れて本隊と通信しようと
無線機をいじっていたよ。

マイナス10℃はとっくに超えてる酷寒で暗い山奥で、小隊員と離れてるなんて
俺もその時は結構勇敢だったね。
とにかく、こんなに苦労してるのにこのポンコツは電波を全然拾ってくれなかった。
ここでイライラしつつあれこれ押してみたけど
なんかボタンを押す瞬間、いきなり電波が入って来た。
まぁ..無線機を直したからとりあえず本隊に通信を飛ばした。

「現網に受信待機中である●●●、●●●、本局 ■■■であるが送信願う」
「ちーーーーっ」(通信ボタンで手を離したらこうノイズが出る)
「現網に受信待機中である●●●、●●●、本局 ■■■であるが送信願う」
「ちーーーーっ」

*現網:現在通信網
本局:現在通信を送ってる人の一人称


普通は一回しか出さないけど電波が悪い地域では2~3回は送信してた。
まぁこうやって送信したら作戦指示が来て分隊別に分かれて待ち伏せすると報告出して
もっと奥の作戦地域に入っていた。

軍役を済ました人は分かると思うけど冬のど真ん中に待ち伏せとかすると
まじで金玉が凍るところかバラバラになりそうな寒さよ。
足元も感覚がないし、特に作戦地域は山奥だからね。

とにかくそうやってうちの小隊は分隊別で待ち伏せポイントにバラけて、
俺と小隊長、そして入ったばっかのちょっとアホくさい二兵野郎と一緒に
戦時用のバンカーに入ってた。

もともとは行っちゃだめだけど訓練してるし、寒いからこっそり入ってた。
しょうがないでしょ?寒いから。
まじで死にそうだったもん。

バンカーに入って何時間たったかわかんなくなる頃。
小隊長は寒い寒い言いつつどっから落ち葉をかき集めてきて布団にして寝てるし、
二兵野郎は入って来たばっかの新兵のくせにこっくりこっくり居眠りしてた。
俺は通信兵だから通信のため寝れないのに新兵が居眠るなんてまじありえなくないか?

そうやってそろそろ限界が来た瞬間、本隊から状況を報告せよという通信が来て
待ち伏せ中の各分隊へ状況を伝播した。(=伝えた)

「現網に受信待機中である■■■隷下通士達、■■■隷下通士達、本局 ■■■であるが送信願う」
「ちーーーーっ」

*隷下:指揮官に属する者
*通士:無線機を使う通信担当者

うちの小隊は本部分隊と1~3分隊まで4分隊がある。
当然1から「異常無し」と報告が出てきたけど
最後の3分隊の無線がなんかおかしかった。

「現在我が分隊左側前方500m地点から敵が押しかけている。」
「一個分隊の兵力では守りきれない。」
「弾薬と人員支援を願う。」




제목 없음
各分隊には俺が持ってるデカイ箱じゃなくて小さい無線機を渡しといたけど
当然俺より階級が低い人に渡したからふざけることは出来ない。
だから担当兵士じゃなくて3分隊長がふざけてると思って
「あーー〇〇兵長殿!ふざけないで下さい~本隊から状況報告せよと無線来てます」
と無線送ってた。

そこで帰って来たのは
「当所■■■当所■■■、貴所に要請した弾薬は人員はどうなったか?」
「現在塹壕前200m前方で交戦中である。」
「繰り返す。現在塹壕前200m地点で交戦中である。」
「速やかに弾薬と人員支援を願う。」

だった。

いくら平和と言っても韓国と北朝鮮ってそもそも休戦中ってわけで
戦争が終わったわけではないからさ。
まじかもしれないと思って他の分隊にも連絡してみたけど
今回は3つも分隊が全部「異常無し」と答えてくれたんだ。
一応本隊に全分隊、待ち伏せ中異常無しと報告出して再び3分隊の通信係に無線した。

「Sibal今ふざけたクソ野郎は誰や!!」
(元々は通信用語ではない平語使ったらだめだけど小隊専用チャンネルだったから...)
と叫んだら3分隊の通信係がビビって自分はずっと通信待機していてて、
異常なしと返信した以来無線機を触ってないと言い訳して来た。

普通こういう状況だったら3分隊長みたいな階級の高い人がふざけて
口止めしてる場合だからイライラしてても仕方ないし許してあげた。
こういうのがいやだったらもっと早く入隊するしかないからね。

やっとイライラするのがなくなる頃、(多分30分くらい過ぎたかな)
再び無線がデカイノイズと共に入って来た。

内容は
캡처
「Sibal キチガイ野郎!!中隊長に変われ!早く変われよSibal野郎!!!!」
まじでデッカイ音だったから横で寝てた小隊長まで起きて俺を見て来た。

小隊長は誰?誰の無線なの?とずっと聞いてくるけど
3分隊長がふざけてますとか言えるわけねぇじゃん...
どう説明するかなやんでる時にまた無線が入った。

「おい!通信兵!はよ▲中隊長に変われよ!!」

うちの中隊長の名前でもないし、
うちの大隊の他の中隊長にも▲という名前の持ち主はないから一瞬ぼーとして
小隊長に「今小隊専用チャンネルです。」と言っちゃった。

当然小隊長はぶちぎれて
「どこの誰がふざけてんだ!!」
「現時間から無線機は分隊長が管理し、1分隊から順番通り総人員と異常有無を報告し直しろ。またふざけたり報告に問題があったらぶっ殺すぞ!!」

と無線した。

普段あんま怒らない人だったからがちで怒ると怖かったせいか
ほぼ即答と言ってもいいくらいのスピードで1分隊から2分隊まで報告が来てて
3分隊の順番だったけど返信が来なかった。

そこで小隊長はまたぶちぎれて3分隊全員ぶっ殺すと言いつつ
俺と新兵を連れて3分隊の待ち伏せポイントに行ったけど
3分隊の人員は新兵まで、誰一人残せず寝てたんだよ。ww

それを見た小隊長は顔が真っ赤になってがちで3分隊員を蹴り飛ばした。
弱10分後、3分隊員を懲罰して若干落ち着いた小隊長が
結局、無線でふざけたのは誰だ?分隊長お前か?
と聞いたけど
その答えを聞く瞬間、鳥肌が立った。

めっちゃ寒い時はね。
バッテリーが普段より早く消えちゃう場合があるけど
3分隊の無線機がそれだったんだよ。
いつから使えなかった?と聞いたら待ち伏せしてすぐと言われた。

じゃ?
その変な通信は??
3分隊からの報告は???


頭が追いつかなくて3分隊の無線機を直接チェックしてみたけど
本当に電源入れた途端またオフになっちゃってたから
小隊長はターゲットを俺に変えた。

お前が居眠りして無線機(鉄の箱)触っちゃって他のチャンネルになったりしてないか
と聞いてきたから無線機のチャンネルと状態を全部見せてやった。
当然無線機は全部異常なし。

小隊長が団体催眠でもされたのか!!!と怒りの叫び声を出すその瞬間、
再び無線が入った。

「(ノイズと爆発音と共に)★★★★、★★★地域に後退する」

俺と3分隊員10人、新兵全員がその場で何も言えず、動けず止まった。
幸い小隊長はぶちぎれていたからか無線で「受話者の官等姓名を述べ」と言ったけど
銃声と爆発音と共に★★★★、★★★に後退するからそこで合流しよとしか
答えてくれなかった。

*受話者:現在無線受けてる方
*官等姓名:階級と名前

結局小隊長が作戦地図を出して座標を確認したけど
それをみた俺は深刻に、おばけでもみたような表情で小隊長に報告した。



あの...小隊長殿?

なんだ?

地図上、座標★★★★、★★★は現在3分隊待ち伏せポイント、だから今私達のとこです。



その瞬間俺以外の全員が悲鳴と共に待ち伏せポイントで逃げ出して俺だけ残っていた。
なんか、動けなかったんだよ。

そこで再び無線が入った。

「当所■■■当所■■■、最初位置☆☆☆☆、☆☆から★★★★、★★★に合流完了」
「繰り返す、当所■■■当所■■■、最初位置☆☆☆☆、☆☆から★★★★、★★★に合流完了」
「現在生存部隊員4名、速やかに弾薬と人員支援を願う」
「現在把握出来た敵は中共軍弱2個中隊である。」
「現在☆☆☆☆、☆☆地域は中共軍が占領した。」
「速やかに弾薬と人員支援を願う、以上。」

この無線を聞いた途端怖いもクソも気にせず、地図を出して座標をチェックしてみた。

謎の無線から言った最初位置は
캡처

小隊長と俺と糞新兵が一緒に入って居眠りしたそのバンカーだった。
その瞬間は俺にとってはマジで怖くて狂いそうな瞬間だった。

さっきのバンカーやこのポイントももしかすると幽霊と一緒にいるかもしれないと思ったら
周りの空気もなんか違うようだし、足も動かないし、口と鼻はよだれと鼻水まみれだった。

もっと怖いのはまだ無線の内容は終わってないってこと。
まるでどっかの戦争映画のシナリオが進まれてるみたいにずっと流れてた。

「現在この通信を聞いている全ての部隊に知らせる。」
「現在まで把握された敵は中共軍のようだ。」
「振り返す、
現在まで把握された敵は中共軍のようで規模は弱3個連隊である。」
「中隊規模では防げない!陥落寸前である。(ノイズ、銃声、悲鳴と共に)」
「陥落寸前である!この通信を聞いている全ての部隊に知らせる。」
「速やかに支援を願う。」
「敵の規模は弱3個連隊であり、中隊兵力では防げない。」
「陥落寸前である。
速やかに支援を願う。」

そして5分後

「この通信を聞いている全ての部隊に伝える。」
「俺は1○連隊8中隊長◇◇◇大尉だ。1○連隊8中隊長◇◇◇大尉だ。」
「米軍も撤退していると聞いた。中共軍が本格的に介入し始めた。」
「現在8中隊総員19名、前線を維持出来ない。」

「繰り返す俺は1○連隊8中隊長◇◇◇大尉だ。この通信を聞いている全ての部隊に伝える。」
「中共軍が本格的に介入し始めた。軍も撤退していると聞いた。」
「現在我が中隊は壊滅状態である。現在8中隊総員19名、前線を維持出来ない。」
「お願い、誰でもいいから包囲を破って支援を願う」

無線機の声は怒り出したり、誰に祈るように訴えたりして救いを求めていて
支援要請の無線は何十分も続いた。
そして最後の内容を聞いた俺はその場で倒れてた。

「現在我々は包囲されている。これ以上支援要請が出来ない状況である。」
「8中隊長、大尉
◇◇◇。
学徒志願兵●●●。
二等中士▽▽▽。
上等兵@@@。
一等兵###。」

「以上、8中隊総員5名は玉砕の覚悟でここを死守する。
現在、この無線を聞く部隊は直ちに退却すること願う、
我々は引き続き国軍の健勝を祈る。」

「以上、
1○連隊8中隊長◇◇◇大尉以下4名....以上....」

この無線を最後に無線機は作動を止めて俺は泣きながら倒れてた。
目を覚めた時は訓練が終わってて大隊の医務室だった。
訓練は2日残っていたから2日間ずっと倒れていたんだよ。

後で聞くと俺が倒れる瞬間、俺の鳴き声を聞いた小隊長と3分隊長が戻って来たら
俺は無線機を抱きつけたまま倒れていたらしい。

そうやって2週くらい医務室で回復して、お見舞いに来てもらった幹部に
この話をすると、部隊の沿革表を見せてくれた。

そこに最後の5人の名前とその中隊長の写真がいてまたないたよ。













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